患者さま・一般の方へ

当クリニックでは、心臓疾患に何か問題があり、心臓リハビリテーションプログラムにご参加いただくことがその患者さんの心疾患管理・健康増進に効果があると判断される場合、その適応があればリハビリ介入させて頂いております。

心臓リハビリテーションは永続的に関わっていくものではなく、原則150日間、という保険診療で定められた期間内で、食事療法や運動療法、日常生活全般における自己管理・セルフモニタリングのノウハウを獲得していただき、心臓疾患の再発予防へ向けた自立支援を行うことをその主目的としています。

心臓リハビリ介入終了(ご卒業)後は、原則、かかりつけの先生にお戻りいただくことになります。
かかりつけの先生と情報交換を行わせて頂き、協働で診療・患者さんの健康増進に取り組ませて頂きます。

ご自身が心臓リハビリテーションに適応があるのか、心臓リハビリテーションプログラムに参加することが望ましいのか、ご興味・関心がおありの場合、まずはかかりつけの先生とご相談ください(心臓リハビリテーションの適応について)。

原則、かかりつけの先生からの情報提供をもって、心臓リハビリテーションの適応があるかどうかを判断致します。
情報提供がない、適応があるかどうかがはっきりしない場合は、一旦当クリニックで評価させて頂き、適応の有無について判断させて頂くこともあります。結果によっては適応とならない可能性もあることはご了承ください。
ただその場合も、知り得た情報の中で可能な健康アドバイスなどは行わせて頂きます。

心臓リハビリテーション、ご自身に適した運動療法のアドバイスをご希望の方は、ご遠慮なくお問い合わせください。

フレイルサイクル

フレイルサイクル

ヒトは、齢を重ねることにより、体力・筋力が低下していきます。これはある意味自然の摂理、というところもありますが、期せずした病気の発病やそれに伴う治療・療養のため、その体力低下や低栄養状態が引き起こされることもままあります。

そうした状態に対し、何の対策も取らなければ、せっかく病気自体は治癒・快方に向かったとしても、体力・筋力の低下は遷延して残っているのが常です。

そうすると、病気は治ったはずなのに、なぜか元気がない、食欲がない、すぐ疲れる、という状況から脱却できない


日常の運動量や活動量が低下したままになり

ますます筋力や体力が衰え

いわゆるフレイル・サルコペニア、という状態に陥り

低栄養や活動量・活動性の低下が顕著となり

食べる気すら起きなくなり、ますます疲れ易くなりやすくなり

結果、せっかく直った病気が再発してしまう、心臓であれは心臓のコンディションが低下してしまう・・・

という悪循環・負のスパイラルに陥ってしまいます。

この負のスパイラルに陥ってしまうと、特に高齢者の方々は活動量の低下などから人と人との接触・コミュニケーション機会が減少し、社会的孤立・閉じこもりを助長したり、認知機能面やよく鬱状態の悪化を引き起こしたりし、この悪循環に拍車がかかります。

このことから、急性期の治療だけ行って、それでもう直った、と思うのは早計であり、実はその後がとても重要なのです。

その基本となるのが、【食事】と【運動】です。


病気がいったん快方に向かう回復期の段階、すなわち病院から退院して速やかなタイミングで、適切に運動を行い、適切な栄養補給をすることがとても重要になります。

この適切な、という言葉は大変便利で、そして難しいものです。なぜならその人にとって何が【適切】なのか、が千差万別だからです。特に心血管疾患患者さんは往々にして、病院で厳しい食事管理や行動制限を課せられているケースが多く見受けられます。ただそういった厳しい管理基準は急性期・とても病気の状態が悪かった時にあわせたものであり、回復期においては、その人の回復状態・全身状態その他様々な要素によって、調整・改編していくことが大切です。ただそれには専門的な知識や経験を要するのも事実であり、それこそ私たち外来心臓リハビリテーションに携わる人間が、そのご案内・ナビゲーション役として本領を発揮するところです。

フレイルサイクル


すなわち、その方の状態に合わせた運動プログラムを考え、食事内容の相談に乗らせていただきます。そうすると・・・

入院加療によって落ちていた食欲や体力が適切な栄養補給・運動療法によって回復してくる

食欲も増してきて、疲れにくくなる

代謝も更新し、活動量がupする

筋力・体力が向上し、フレイル・サルコペニア状態から脱却する

生活習慣病の管理が良好になり、動脈硬化進展が予防され、心臓のコンディションが改善する

ますます疲れにくくなって、いろいろ活動しようと意欲も向上する

自分のやりたこと、やらなければならないことなどがしっかりできるようになる

人生が楽しくなる、幸せになる

以上のように、心臓リハビリテーションは単に病気の再発予防をするだけにとどまらず、また単に運動療法や食事療法などを行うことを指し示すものではなく、その患者さんが自身の「ウェルネス(wellness)」を取り戻すこと、「ウェルビーイング(well-being)」な状態に至るための取組み全体を指し示すもの、であり、われわれはその良きアドバイザーでありたい、と考えています。

心臓リハビリテーション、ご自身に適した運動療法のアドバイスをご希望の方は、ご遠慮なくお問い合わせください。


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