急性期・入院中の心臓リハビリテーションは、我が国においてもだいぶ標準化してきました。
一方で、急性期病院からの退院後・回復期以降の外来心臓リハビリテーションの普及はまだまだ十分なレベルにあるとは言い難い状況にとどまっています。
一旦急性期を脱しても、回復期以降の、状態が安定していることを確認することはとても大切なことです。
そして心血管疾患の患者さんというのは、一旦落ち着いた後も、些細なことをきっかけにまた病状が再燃・増悪する、ということは、臨床の現場ではよく遭遇します。
生活習慣病が病気の原因・根本となっておられる患者さんも多く、日常の食事や運動・活動・生活全般にわたる注意点・自己管理意識・モチベーションに対し、タイミングよく効果的に、必要に応じて働きかけていくことも、病状管理において大変重要になってきます。
そういった、適切な医療サポート・アドバイスを要する患者さんたちが、無理なく健康管理・健康増進を行える・実践できるような療養環境・社会を実装していくことは急務であり、われわれ心血管疾患の診療に携わるものに課せらせた重要ミッションと思い定めています。
中継地点としての役割を担う
そのための強力な解決策の一つとして、クリニック・診療所規模での外来心臓リハビリテーションの普及は大変重要であり、かつ効果的であると私たちは考えます。
急病の際に威力を発揮する急性期治療を得意とした医療施設と、その退院後のフォローアップをして下さる地域のかかりつけの先生方の間を、外来心臓リハビリテーションを介し、当クリニックが地域の健康管理の中継地点【Hub】としての役割を果たすべく、現在地域の様々な医療機関とその関係性・協力体制を構築中です。
ぜひそういった連携・協力関係構築にご興味のある先生方とは、情報共有や意見交換を活発に行い、地域の医療水準の向上などに貢献してまいりたいと思っております。患者さんの併診・共診に伴う直接的な情報提供関係だけでなく、地域ぐるみでの医療連携・ネットワーク構築にご興味のある先生方・医療関係者の方がいらっしゃいましたら是非当クリニックまでご連絡ください。
TEL 042-637-8080
もちろん、医療だけで出来る事には限りがあります。外来心臓リハビリテーションによって全てを担うことは不可能です。
患者さんの病態・病状のStageに応じて、非保険の領域において、フィットネスであったり調剤薬局であったり、様々なシーンで健康に関わる営みが行われています。介護サービスを必要とされる患者さんもいらっしゃいます。自身でフィットネスに通っていて、そこで出来れば医学的なアドバイスを受けたい、という方もいらっしゃいます。調剤薬局でいろいろ健康相談に乗ってもらいたい、という方もいらっしゃると思います。地元のレストランや居酒屋さんで、美味しいお料理&健康的なメニューの提供があったり、何か医学的な豆知識が提供できたりするのも、とても素敵なことだと考えています。
食生活や運動習慣を身につけるのは大人になってから、よりも、からだの基礎を作る子供のうちに学んでもらうこともとても大切なことであり、近隣の小・中学校、高校などとの連携も必要と考え、現在手探りではありますが学外実習や就労体験などの活動を通して何かお役に立てられないか、模索しているところです。
介護やフィットネスに携わる職種の方々に対して、必要な医学的知識を幅広く知っていただけるような教育・啓蒙活動も必要不可欠と捉え、大学や専門学校での講座を請け負わせていただいたり、セミナー・講演活動なども積極的に行わせていただいております。オンライン通信が発達した昨今では、遠隔地でも容易に意見交換がリアルタイムで行えるようになり、各地でアグレッシブにメディカルフィットネスを展開されている施設とは、定期的にケースカンファレンス・モーニングレクチャーを行っています。
多岐にわたる領域・異業種間において、シームレスな情報の授受・共有には、IT企業の協力は必要不可欠です。ご興味ある方はFRIENDSHIP BONDをご覧ください。
またこういった地域の全体を統括する為には、行政関係の理解やご助力が必要不可欠とも考えています。
近年、「ウェルネス(wellness)」という、毎日をよりよく生きるための健康維持・増進に向けた生活態度全般を指した、「健康」をより広く捉えた新しい概念が登場してきました。
世界保健機関(WHO)でも、「健康」の定義は「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定めています。このことから「ウェルネス(wellness)」は、単に病気の有無や体調の良し悪しを言っているのではなく、生活の質(Quality of Life)や幸福度(Happiness)にまで言及する概念、といえます。
その派生語としての「ウェルビーイング(well-being)」は、「well」+「being」=継続的な要素が加わります。すなわち「ウェルビーイング(well-being)」とは健康かつ幸福な状態が続いている、という意味になります。
私たちは、【医療】【心臓リハビリテーション】の担い手、という立場から、「ウェルネス(wellness)」に関係する、保険/非保険関わらず全ての領域な領域の方々と協力して、この「ウェルビーイング(well-being)」を地域に根差した形で実現していくべく日々邁進してまいります!